造園とガーデニング、何が違う?庭づくりを頼むならどっちに相談するべきか

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「庭をきれいにしたい」「外構を整えたい」と思ったとき、多くの人が「ガーデニング」や「造園」といった言葉に触れます。しかし、この2つの違いを正確に理解している方は意外と少なく、「どちらに相談すればいいか分からない」と悩む声をよく耳にします。実際、ホームセンターの園芸コーナーで売られているような商品でも“ガーデニング”という言葉が使われ、いっぽうで造園会社が扱う工事にも似たような言葉が並びます。


本来、「ガーデニング」は個人の趣味の延長線上にある活動であり、「造園」は専門職が担う外構・植栽を含めた空間設計・施工の分野です。規模も内容も異なり、目的に合った相談先を選ばなければ、予算や品質、施工後の満足度に大きな差が出てしまいます。この記事では、似ているようでまったく違う「造園」と「ガーデニング」について、それぞれの定義や業務内容、相談の目安を具体的に解説します。




定義の違いを明確に|ガーデニングと造園の本質的な役割とは

「ガーデニング」と「造園」の最も大きな違いは、その目的と担い手です。ガーデニングは、個人が楽しみながら植物を育てたり、季節の花を植えたりする“趣味的活動”であり、比較的狭い範囲を対象とします。ベランダや玄関先、家庭菜園の一角など、日常生活の中で手が届く範囲の装飾や栽培が中心です。


一方、「造園」は専門の知識や技術をもった業者が行う“設計・施工業務”です。植栽計画はもちろん、地盤整備や排水処理、擁壁工事、石材の配置など、空間そのものを構築するスケールの大きな仕事が含まれます。また、造園には建築や土木と同じように建設業許可が必要となる場合もあり、構造物を伴う工事や公園・学校・寺社仏閣の整備など、公共性の高い仕事も多く見られます。


ガーデニングは「見た目を楽しむ」要素が強く、造園は「空間の機能性と調和」を重視する傾向にあります。このように、同じ“庭づくり”でも、そのアプローチや技術水準、責任範囲は大きく異なります。目的に応じて、どちらが適しているかを見極めることが、満足のいく庭づくりへの第一歩となります。




スキル・資格・設計力の違い|任せられることがまるで違う

ガーデニングと造園の違いは、必要とされるスキルや資格にも表れます。ガーデニングは基本的に資格不要で、誰でも始めることができます。園芸店やネット情報をもとに、自分の好きな植物を選び、自宅の一角に植えることで楽しめる、自由度の高い活動です。


一方、造園には専門的な資格や経験が求められます。たとえば「1級造園施工管理技士」や「造園技能士」といった国家資格を持つ技術者は、植栽だけでなく構造物の設計や施工管理、工期・予算の調整など、プロジェクト全体を統括できます。また、地盤や排水設計、照明計画に至るまで、安全性や機能性を踏まえた総合的な判断が求められるため、設計図面の作成やCAD(設計ソフト)の操作スキルも必要になります。


さらに、造園業者は工事中の安全管理や、近隣への配慮といった社会的責任も負っています。これに対してガーデニングは、あくまで個人の裁量の範囲内で完結するため、トラブルが起きた場合の対応力にも差が出ます。


「庭にウッドデッキを設置したい」「傾斜をならして芝を敷きたい」といった具体的な施工が関わる場合は、迷わず造園業者に相談するのが正解です。




どんな人・どんな庭なら「造園業者」に依頼すべきか

庭づくりを考えたとき、「自分でできること」と「専門家に任せるべきこと」の線引きは、実はとても重要です。ちょっとした植栽やプランターの配置、季節ごとの花の入れ替えなど、日常の楽しみとして取り組む範囲なら、ガーデニングで十分です。しかし、庭全体のリニューアルや、排水対策・造成工事を含む外構整備が必要な場合には、造園業者への依頼が必要不可欠です。


たとえば、「雑草対策で庭全体に砂利を敷きたい」「老後に備えて段差をなくし、スロープを設けたい」「既存の庭石や樹木を活かして和風庭園にしたい」など、構造的・計画的な要素がある場合は、造園業者の出番です。造園は“植える”だけでなく、“地形を整える・空間を作る”仕事であり、専門知識と経験がなければ安全性や仕上がりに大きな差が出ます。


また、樹木の剪定も「見栄えを整える」だけならガーデナーでも対応できますが、「成長を見越した形に整える」「病気を防ぐ剪定」には樹種ごとの理解が必要で、これも造園業者の得意分野です。手軽に済ませたいと思っていても、結果的にやり直しが必要になるケースは少なくありません。最初から適切な相談先を選ぶことが、コストや満足度を左右します。




誤解しがちな費用・見積の違いにも注意!

「ガーデニングより造園のほうが高そう」「頼むと予算が大幅に超えそう」という声は少なくありません。たしかに、構造物や設計が絡む造園工事は、数十万円~数百万円単位の見積になることもありますが、その分、工事の範囲や完成後の品質に大きな違いがあります。


一方、ガーデニング関連の作業や商品は、単発の費用で済むことが多く、見た目は手頃に感じられます。しかし、ガーデニング業者では対応しきれない施工範囲があり、「あとから追加で工事が必要になる」「そもそも思っていた仕上がりと違う」といった問題が起こることもあります。


造園業者の場合、見積書の内訳には設計費、材料費、施工費、管理費などが細かく明記されており、「どの作業にどれだけの費用がかかっているか」が明確です。また、施工後のアフター対応やメンテナンス契約も用意されていることが多く、長い目で見たときに安心感があります。


「まずは簡単に」と思って始めたガーデニングが、結果として何度も手を入れることになり、最終的に造園に頼み直すケースも少なくありません。そうした手戻りを防ぐためにも、「どの業者ならどこまで対応してくれるか」を事前に確認し、納得のいく見積書をとることが大切です。

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庭の専門家に相談することで得られる安心感と価値

「庭づくり」と一言でいっても、その目的や規模、必要な知識は人それぞれ異なります。ガーデニングが趣味の延長線にあるのに対し、造園は「暮らしに溶け込む空間」をつくる仕事です。見た目の美しさだけでなく、機能性・安全性・メンテナンスのしやすさまで考えた提案ができるのが、造園業者の強みです。


大切なのは、自分がつくりたい庭の規模と目的を正しく見極め、その内容に応じた専門家に相談すること。もし少しでも迷いがあるなら、まずは一度プロの意見を聞いてみてください。

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