【業界研究】造園業と造園工事業の違いとは?求職者が知るべき「仕事の規模」と「役割」

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「造園の仕事」と聞いて、あなたはどのような光景を思い浮かべるでしょうか。


静かな日本庭園で、パチッ、パチッとはさみの音を響かせながら松の手入れをする職人の姿かもしれません。あるいは、真夏の太陽の下、額に汗をにじませながら公園の遊具を設置したり、街路樹を植えたりしている作業着の人たちかもしれません。


実は、このイメージの「ズレ」こそが、求職者が最初に直面する大きな壁なのです。「植物が好きだから」という理由だけで業界に入ると、「思っていた仕事と違う」「もっと木に触れる時間が長いと思っていた」といったミスマッチに苦しむことがあります。


あなたが目指しているのは、一本の樹木の美しさを追求する「庭師」としての道でしょうか。それとも、公園や緑地といった空間全体をプロデュースし、地図に残る仕事を手掛ける「造園工事」のプロフェッショナルでしょうか。


この二つは、同じ「緑」を扱う仕事でありながら、求められるスキルも、現場での役割も、そしてキャリアの広がり方も大きく異なります。


ここからは、あいまいにされがちな「造園業」と「造園工事業」の違いを、法律上の定義や実際の現場の動きから紐解いていきます。あなたが情熱を注ぐべき場所がどこなのか、一緒に整理していきましょう。


要点まとめ

  • 造園工事業は、建設業法で定められた「29業種」の一つであり、社会インフラ整備の一翼を担う。
  • 「職人」は技術で植物と向き合い、「施工管理」はマネジメントで現場全体を動かす。
  • 自分の適性が「一点集中型の技術職」か「全体統括型の管理職」かを見極めることが重要。


目次

  • 建設業法における「造園工事業」の位置づけ
  • ハサミを持つか、図面を持つか。現場での役割分担
  • 求められるスキルとキャリアパス
  • 公共工事から民間緑化まで。幅広く手掛ける企業の強み
  • 「つくる喜び」と「守る誇り」、あなたの適性はどちらにあるか




■ 建設業法における「造園工事業」の位置づけ


・ 「庭の手入れ」と「建設工事」の境界線

一般的に「造園屋さん」と呼ばれる会社には、大きく分けて二つの顔があります。一つは、個人邸の庭木を剪定したり、消毒を行ったりする維持管理を中心としたサービス業的な側面。そしてもう一つが、今回詳しく掘り下げる「建設業」としての側面です。


建設業法という法律には、土木一式工事や建築一式工事と並んで、専門工事の一つとして「造園工事業」が明確に定義されています。これは単に木を植えるだけではありません。整地、樹木の植栽、景石の据え付け、地被植物による緑化、公園設備の設置などを行い、「土地に定着する工作物」を作り上げる仕事です。


なぜこの違いを知っておく必要があるのでしょうか。それは、仕事のスケールと責任の所在が異なるからです。建設業としての造園工事は、数百万円から時には数億円規模の予算が動くプロジェクトになります。そこには厳格な契約があり、工期があり、完成後の検査があります。あなたがもし「大きな仕事がしたい」「社会の役に立つインフラを作りたい」と考えているなら、目指すべきは建設業許可を持っている造園会社ということになります。



・ 社会インフラとしての緑を守る責任

道路を走っていて、中央分離帯の緑や、高速道路の斜面に植えられた植物を目にしたことはありませんか。あれらは自然に生えてきたわけではありません。土砂崩れを防ぐための防災機能を持たせたり、ドライバーの視線を誘導して事故を防いだりするために、計算されて作られた「インフラ」なのです。


造園工事業が扱う領域は、私たちが想像するよりもはるかに広大です。都市部のヒートアイランド現象を緩和するための屋上緑化や、マンション建設に伴う外構工事、そして市民の憩いの場となる公園整備。これらはすべて、都市機能の一部として機能しています。


つまり、造園工事業に従事するということは、単に植物を育てるだけでなく、都市の景観を作り、人々の安全で快適な暮らしの基盤を支えることと同義なのです。「自分の仕事が街の風景を変える」。そんなダイナミックな経験ができるのが、この仕事の大きな特徴と言えるでしょう。




■ ハサミを持つか、図面を持つか。現場での役割分担


・ 職人(庭師)の流儀:技術で植物と対話する

現場での役割分担についても見ていきましょう。まずは「職人」や「庭師」と呼ばれる人たちです。彼らの主な道具は、剪定ばさみやノコギリ、そして自らの身体感覚です。


職人の仕事の本質は、植物という生き物と対話することにあります。「この枝を切ったら、来年はどう伸びるか」「この石をどう置けば、最も美しく見えるか」。そうしたミクロな視点と繊細な技術が求められます。朝から夕方まで現場で体を動かし、自分の手で直接ものを作り上げる喜びは、何物にも代えがたいものです。


もしあなたが、一つのことを突き詰めるのが好きだったり、自分の技術が向上していくことに喜びを感じたりするタイプなら、職人としての道は非常にやりがいのあるものになるでしょう。ただし、天候に左右されやすく、体力的な負担も大きい仕事であることは覚悟しておく必要があります。



・ 施工管理(監督)の使命:オーケストラの指揮者のように

一方で、「造園工事業」で特に需要が高く、求人も多いのが「施工管理(現場監督)」という仕事です。彼らが手にするのはハサミではなく、図面や工程表、そしてカメラです。


施工管理の役割は、工事現場全体を指揮することです。職人さんたちに指示を出し、材料を手配し、近隣住民への挨拶回りを行い、予算内で工事が終わるように調整します。言ってみれば、職人さんたちが演奏家だとしたら、施工管理はオーケストラの指揮者です。


自分では直接木を切らないかもしれません。しかし、完成した時の公園や緑地全体を見渡した時、「この景色は自分がチームをまとめて作ったんだ」という達成感は、職人とはまた違った大きさがあります。多くの人と関わり、プロジェクトを動かしていくマネジメント能力が身につくため、将来的にキャリアの選択肢が広がりやすいのも特徴です。



・ あなたに向いているのはどっち?簡易チェック

ここで一度、立ち止まって考えてみましょう。あなたはどちらの働き方に惹かれますか。直感で選んでみてください。


【Aタイプ】

  • 自分の手でモノを作ったり、加工したりするのが好き
  • 一つの技術を極めて、誰にも負けない腕を持ちたい
  • 複雑な人間関係よりも、黙々と作業に没頭したい
  • 成果物が直接目に見える形になると嬉しい


【Bタイプ】

  • チームで一つのプロジェクトを成し遂げたい
  • 人と話したり、交渉したりするのが苦ではない
  • 全体の計画を立てて、その通りに進むと快感を覚える
  • 将来はリーダーとして、より大きな責任ある仕事をしたい


もしAが多ければ「職人・技能職」、Bが多ければ「施工管理・技術職」への適性が高いと言えるかもしれません。もちろん、両方の視点を持つことが理想ですが、入り口としてどちらを目指すかを決める際の参考にしてみてください。




■ 求められるスキルとキャリアパス



・ 「技能士」:一芸を極める匠の世界

造園の世界で生きていくためには、どのような資格やスキルが必要になるのでしょうか。ここでも、職人と施工管理で道が分かれます。


まず、職人として腕を磨きたい人が目指すのが「造園技能士」です。これは、実際に竹垣を作ったり、図面通りに植栽を行ったりする実技試験と、学科試験からなる国家検定です。1級、2級、3級とランクがあり、特に1級技能士は、長年の修練を積んだ証として業界内でも一目置かれます。


技能士の道は、まさに「匠」の世界です。昨日より今日、今日より明日と、自分の技術が向上していく実感は何よりのやりがいです。ただし、独立して親方になるか、あるいは特殊な技術を持つ職人集団に属さない限り、給与面での天井が比較的早く訪れる傾向があるのも事実です。



・ 「施工管理技士」:現場を動かす国家資格

一方で、施工管理の道を進むなら「造園施工管理技士」という国家資格が必須のパスポートになります。これは、工事現場に配置しなければならない「主任技術者」や「監理技術者」になるために必要な資格です。


この資格の強みは、公共工事を受注する企業にとって「喉から手が出るほど欲しい人材」になれる点です。国や自治体の工事は、有資格者がいないと受注すらできません。そのため、資格手当が手厚く、昇進や昇給の基準も明確な場合が多いのです。


もしあなたが「安定した収入を得たい」「将来は会社の幹部候補として活躍したい」と考えているなら、施工管理技士の取得を目標にキャリアを積むのが現実的な選択肢と言えるでしょう。



・ どちらが稼げる?給与と将来性

では、ぶっちゃけ「どちらが稼げるの?」という疑問についてもお答えしましょう。


一般論として、初任給や若手時代の給与には大きな差はありません。しかし、30代、40代と年齢を重ねるにつれて、施工管理職の方が年収が高くなる傾向にあります。これは、個人の技術料よりも、プロジェクト全体を管理するマネジメント料の方が、ビジネスとしての規模が大きいからです。


もちろん、独立して成功した庭師の中には高収入を得ている人もいますが、企業に所属して安定的にキャリアアップを目指すなら、施工管理という選択肢は非常に魅力的です。現場の苦労を知っているからこそできる管理、職人さんへのリスペクトを持った指示出し。そうした人間力が、あなたの市場価値をさらに高めてくれるはずです。




■ 公共工事から民間緑化まで。幅広く手掛ける企業の強み



・ 「公共」の安定性と「民間」のデザイン性

就職先を選ぶ際、その会社が「公共工事」と「民間工事」のどちらをメインにしているかは、あなたの働き方を大きく左右します。


公共工事は、公園の整備や街路樹の管理など、行政が発注する仕事です。ルールが厳格で書類作成も多いですが、仕事量が安定しており、スケールの大きな現場に携われます。一方、民間工事は、個人邸の庭園やマンションの植栽、企業の緑地管理などです。お客様の顔が見えやすく、「ありがとう」と直接言ってもらえる喜びや、デザイン性の高い提案ができる楽しさがあります。


実は、最もおすすめなのは、この両方をバランスよく手掛けている企業です。なぜなら、景気の波に左右されにくく、経営が安定しているからです。公共事業が少ない年は民間でカバーし、その逆もまた然り。こうした企業体力のある会社を選ぶことは、長く安心して働くための重要なポイントです。



・ 両方できる会社が「強い」理由

働く側のメリットは安定性だけではありません。スキルの幅が格段に広がるのです。


公共工事で厳格な品質管理や安全管理を学び、民間工事でお客様への提案力や柔軟な対応力を養う。この二つの視点を持つ技術者は、どこへ行っても通用するプロフェッショナルになれます。「片方しかできない」のではなく、「両方の面白さを知っている」。そんな環境に身を置くことで、あなたのキャリアはより厚みのあるものになるでしょう。


例えば、地域に根差して長年実績を積んでいる企業では、行政からの信頼も厚く、同時に地元の人々からの造園依頼も絶えないという好循環が生まれています。そうした環境でこそ、本物の技術と信頼が育まれるのです。


もしあなたが、安定した基盤の上で、多様な経験を積んで成長していきたいと願うなら、ぜひ私たちの採用情報を覗いてみてください。公共・民間問わず、幅広いフィールドで活躍できる環境が整っています。


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■ 「つくる喜び」と「守る誇り」、あなたの適性はどちらにあるか



・ 迷っているなら、現場を見てみるのが一番

ここまで、造園業と造園工事業の違い、職人と施工管理の違いについてお話ししてきました。少しはイメージが湧いてきたでしょうか。それとも、「やっぱりまだ決めきれない」と悩んでいるでしょうか。


もし迷いがあるなら、それは決して悪いことではありません。真剣に自分の将来を考えている証拠です。そんな時は、実際に会社の話を聞きに行ったり、現場の空気に触れてみたりするのが一番の近道です。


文字や写真だけでは伝わらない、土の匂い、職人たちの活気、完成した緑地の清々しさ。そうした「現場のリアル」を感じた時、あなたの心がどう動くか。そこに答えがあるはずです。「あ、なんかいいな」という直感は、意外と正しいものです。



・ あなたのキャリアを、一緒に育てる場所へ

造園の仕事は、一度作って終わりではありません。植えた木々が根付き、枝葉を伸ばし、やがてその土地の風景の一部となっていく。その成長を数年、数十年という単位で見守り続ける仕事です。


同じように、あなたのキャリアも、じっくりと時間をかけて育てていくものです。最初からすべてを完璧にこなす必要はありません。先輩たちの背中を追いかけ、失敗を糧にし、少しずつできることを増やしていけばいいのです。


私たちは、そんな「育つ意欲」のあるあなたを歓迎します。職人として技を極めたい人も、施工管理として地図に残る仕事がしたい人も。それぞれの適性に合った場所が、ここにはあります。


まずは一度、お問い合わせください。あなたの「やってみたい」という気持ちを、私たちは全力で応援します。


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